2009年2月12日木曜日

重量の影響

 念入りに仕上げられた軽い機体を手にすると、投げてもいない内から心が浮き浮きします。軽い機体はそよ風のような弱い上昇風にも敏感に反応し、皆の羨望を集めながら自分を勝利に導いてくれるように見えます。多少頑丈さが損なわれるのが何だ。
 さて、軽い機体も修理を繰り返し、だんだんと重くなってきてしまいます。もうこの機体もダメかな、価値のある内に誰かに売却しようかな、と考える時、それが当初に比べてどの程度劣化したか、気になりませんか?SuperGee2の設計の場合、220gの新品時と5%増しの231g時では以下のような差が生じます。
  • 最小沈下率は、新品の方が約1.5%、良い
  • 失速開始速度は、0.4km毎時、新品の方が良い(遅い)
  • 打ち上げ高度は恐らく、2%程度新品の方が良い
  • 最良時の滑空比L/Dは新品の方が約1.3%、「劣る」
 それほど悲観すべき結果には見えません。重くなり上がらなくなっても、滑空比が伸びたことである程度の相殺が生じ、サーチできる空域の広さはそれほど劣化しないことが読み取れます。上昇風中での上がり方は僅かに鈍化しますが、バタバタ無駄な舵を打つ悪い癖を少しでも抑え、ねじ曲がった身体をほぐして良い舵が打てるならば消し飛んでしまうような数字です。

 上記の数字は逆の読み方もできます。上昇風があまりなく、素早い移動が困難な風の強いコンディションであるならば、バラストを積んで機体を重くした方が、上空を我が物顔に飛び回れるということです。競技中には、ベタベタの無風・微風なんてことは滅多にないのです。上昇風が地形に強く依存することを思い起こせば、対気速度だけではなく、対地速度も重要だと言うことに強風時には気づかされます。
 「先生」(鳶)の体重は、なんと1kg弱にもなるそうです。彼らは重い体重をL/Dに転換し、なるべく広い空域・・・いや地域で餌を探そうとしているのです。