2009年3月16日月曜日

打ち上げへの考察

 僕の今日のお昼ご飯は、昨日の夕ご飯のリアレンジ品。
おなじおかずでも、ほんのすこしトッピングを替え、趣向を凝らせばちょっと嬉しいランチにありつけます。お昼休みごとに外に食べに行ったのでは、ゆっくりと瞑想にふけりながら時にグライダーの飛翔に思いを巡らす、居眠りという貴重な時間が短くなりますし、お昼代金もかかります。第一外食のように塩分が多いと身体にも良くないですしね。ランチ屋ですから、ランチには拘ります。

 打ち上げ高度をもっと上げたい場合、何をすればいいでしょうか。昨日と同じ投げ方では、入力がおなじなのですから違った出力は出てきません。何かを変えなくてはいけません。
 新しいことを行うと言うことは、今まであった古いものを壊す必要があると言うことです。かのインドのヒンドゥの教えでは、破壊の神シバは、創造の神ブラフマー、維持の神ビシュヌと並び、崇められます。不要と思われるものを捨て、新しいものをその上に打ち立てないことには、進歩は得られません。変えるという事の第一歩は、今までのやり方を捨てる、ということです。
 多くの人が「なんだかずっこけそうになる」「しっくり来ない」という理由で、打ち上げのフォームを改造することを拒むのは、尤もだと頷けはしますが、他人の同意が得られたところで打ち上げ高度は1mも上がりはしません。ゴルフや野球を引き合いに出し、フォームを改造しようとして深刻なスランプに陥る例を言い訳する方も居られますが、それは神経質に過ぎます。過てば戻るだけ、なにも損はないのです。

 ではなにをしたら良いのか、どこから手を付けるべきなのか。最後から最初への改良と、その逆、両方の手法が考えられます。リリースに近いタイミングに行う事象から改造する・・・たとえば最後に腕を引きつける・・・これを最後からさかのぼる改良、お昼ご飯のトッピングを施す作業にたとえるならば、一歩目の踏み出し方を改造するのは残り物でなく、新たにご飯を炊き、おかずを作り上げる作業とでも言えましょうか。物事は土台から積み上げるもので、改造する場合も土台から打ち壊し、改造を加える方がドラスティックな効果を期待できますから、一歩目から変えてみましょう。
 この場合、投げ方は人により千差万別ですが、典型的な例として以下のパターンを上げてみましょう。
  • ある程度の助走の後に最終フォームに入る投げ方。
  • 3~4歩のある決まった歩数を以て投げるやり方。
 どちらでもしっくり来る方で良いと思いますが、人間の走る速さが大したことはないこと、また回転動作の中心軸の片方は地面に接地し、容易に動かせないという事実を勘案すれば、走ることを前置するやり方は、打ち上げ速度にそれほど寄与するものではなく、むしろ最終フォームを形作るために必要な動作と言えましょう。ですから、重要なのは走り始めのステップではなくて、リリースの瞬間から逆に数えて数歩だと言えるでしょう。そうなると上記の二つのスタイルともおなじに扱うことができましょう。

 右の図は、ある競技者における打ち上げ動作の最後の数ステップを示しています。解りやすいように、右足は青色で示しています。回転する動作が②と③の2箇所にあることがわかります。ここで回転を行い、腕の先に位置するグライダーを加速しています。このポーズに入る際に、効果的に回転できることが極めて大事なことが解ります。加えれば、2歩目のキック動作で3歩目の回転を大きく加速できますので、2歩目の回転動作を効果的に力強く行い、3歩目の射出動作にスムースにつなげることこそが動作の中心、心臓部になると言えましょう。
 以前の稿で述べた、グライダーの初速は与える力積=力×時間が増えるほど速くなるという事から、回転するストロークを多く・長くとるほうが加速に有利なことが解っています。このためには、最終の射出ポーズの直前までに身体にひねりを残しておくことが有効です。言い方を変えると、足を先行して運び、腰から胸までは残しておけば、その蓄えられたひねりを戻す動作が加速に有効に作用します。足の運びと残っている身体の差は大きければ大きいほどひねりの力も大きい。繰り返しますが足の運びを大げさに取れば・・・この様な書き方しかできないのは隔靴掻痒、もどかしいのですが・・・足だけが先行し、強力なバネとなるべきひねりを残せる足の位置が見いだせるはずです。
 身体のねじりバネを長い距離をもち解放しつつ、②のキックを加え、最終射出にスムースに接続します。この様な投げ方ができれば、加速区間が長いので、以下のメリットが生じます。
  1. 機体にかかる加速度が小さく、また変動が小さいため、機体に負担がかからない。これは補強による無駄な重量の増加が抑制できることを意味する。
  2. 身体にかかる負担が小さい。
  3. 加速がなめらかなため、ペグから指が外れにくい。強風時でも安定した射出ができる。
 頭で理解したら、身体を動かす番です。奥様や子供達にからかわれようが何しようが、身体を動かし始めて下さい。機体の性能には限界がありますが、人間の能力向上は限りがありません。

 一つだけ補足を加えておきます。②・③の位置では、なめらかな回転が必要ですから、必要以上にグリップの良い靴は回転の妨げになることがあります。また、足をひねる力も大きくなりますから踵や膝にトラブルを招きやすいことには十二分に注意してください。履き慣れたスニーカーのような割とありふれた靴が良い結果を生むように思います。