2009年2月15日日曜日

より高い打ち上げをするために

 この記事を書こうとして私は何度もためらいました。打ち上げのセオリーはないに等しく、各人各様、皆違う身体をさばきをし、打ち上げ角度も実に様々です。また短時間で行われる現象のため、解析もしづらいものであり、そこに統一された理論を持ち込むのはきわめて困難な作業に見えます。
 ただ、これを敢えて行わないことには、このブログの価値も半減してしまうと考えました。そこで、本稿では要素のみを並べ、そこに解説を付属するのみとします。

*最終時の腕の引き込み
 打ち上げ時の最終段階に、ペグを指に引っかけ、さらに腕を引き込む動作を行う動作があります。これは、身体能力がそれほど強力でないとか、年配であるとかの方には有効な手段です。加速時の機体の重心位置は、ポッド上・翼の中心位置前後にあります。そこに150g前後の空気抵抗が後方に引きますし、さらに加速時にも反作用が生じますので、指をペグが離れる寸前の機体は、競技者のかなり後方に位置します。このまま素直にリリースするのではなく、能動的に①左側に倒れ込む②腕を引きつける、のような動作を行い、遅れてきた機体に対してY軸方向に引き込んでやります。(X軸:前後方向、Y軸:スパン方向、Z軸:上下方向)
 ベクトルというものはもうお忘れかと思いますが、上記のような動作を行うと、X軸方向にも力が生じます。これが、最後の加速に使用できます。
 デメリットもあります。この投げ方は、機体にかかる負担が大きいのです。力のかかる向きが打ち上げ時最終時に急変します。機体には補強が必要で、その補強が機体を重くし、結果として打ち上げ高度に悪影響を及ぼす可能性があります。この投げ方は、最後のスパイス的に使用するのがよいと感じます。

*加速区間では腕を伸ばす
 同じ回転数のプロペラの、プロペラ先端の接線速度・・・打ち出し速度・・・は、同じ回転数のプロペラであれば、当然ながらプロペラ半径が大きい方が速くなります。同じ理屈で、打ち上げ時の加速区間では意識して腕を長く伸ばすべきです。
 誤解を恐れず言い切ると、回転する力は下半身から生じます。70キロ前後の人間を動かす力が生じていますので、たかだか200g前後のHLGを振り回すのは訳ありません。下半身から力強く発生しているトルクを速度に変換するためには、長いアームが必要です。腕を伸ばして打ち上げてください。

*左腕は引き込む
 回転開始時には送信機を抱えた左腕はのばしておき、打ち上げの最終段階にかかるにつれ引き込んでゆきます。アイススケートのピルエットと思い起こすと、腕を引きつけると回転速度が速くなるはずです。同じ効果を狙い、重い左腕と送信機にあるエネルギーを回転速度に転換します。効果はちょっぴりですが、やらないよりましです。

*下半身のとりまわし
 なぜ人間が回転することができるのか、考えてみましょう。足を運んでいるからです。当たり前ですね。足を固定したままで投げてみましょう。ミニ機ではよくやるのかもしれませんが、フルサイズ機でいくら腕に力を込めても、ろくな高さまで上がりません。腕力は強いのに!なぜでしょう。
 200gのHLGであっても、加速には時間がかかるのです!・・・いえ、あなたの重い重い胴体に繋がった、これまた数キログラムもある腕を加速するためには、長い長い加速区間が必要になってしまうのです。
 長い加速区間を取るためには、回転しないと無理なんです。回転するために、足を運びます。・・・で、あるのなら、加速区間が長く取れるという目的のために足の運びを見直してみます。
 足の立つ位置を種々変えながらゆっくりと回転してみます。デッサンなどをされる方なら、ダミー人形を動かして客観的に見るのも良いかもしれません。
 種々試行するうち、加速区間が長く取れる位置があるはずです。表現を変えます・・・最も腕を長い距離振り回せる場所があるはずです。そこです!自分にしみこんだ投げ方を改造するのは勇気の要ることですが、挑戦して下さい。挑戦する価値があることは間違いありません。自分の可能性を開拓するのはとてもワクワクする行為です。