2009年2月11日水曜日

自機の作業時間を知る

 あなたの機体は、打ち上げてから着陸するまで何秒間滞空できますか?

 この質問に答えられない競技者は、私と同レベルで精進が足りません。上下方向に全く風がない場合・・・ほぼ存在しない状態ではありますが・・・にあなたが可能な限りの高い打ち上げを行い、その機体が地面に戻ってくるまでの時間を正確に計測しておくべきです。最小沈下率での時間を知りたいので、キャンバーは熱上昇風モードにセットしておくとよいでしょう。だれもライバルがいない早朝にこっそりとフィールドに出て、ストップウオッチ片手に計測を行います。

・・・なぜこっそりかって?「何してるんだ?」と問われて作業時間云々などということを説明すれば、小賢しい奴と思われるのが落ちだからです。もし、質問者が深い理解を示してくれた場合でも・・・その時間は明かさない方がいいでしょう。手の内を見せるようなものですから。

 得られた時間が、あなたのカラータイマーです。最初の1/3、中盤の1/3、終盤の1/3を何に使うか。

 チャンスは高度の自乗に比例する、という考え方からは、最初の1/3はギャンブルを行うのに最も適した時間だと言うことがわかります。思い切り足を伸ばし、上昇風をサーチするのに当てるのがよいでしょう。

 不幸にして最初の1/3時間中に上昇風に恵まれなかった場合、次の1/3時間は最初の1/3時間の40%ほどの確率でしか上昇風を捕まえるチャンスがありません。他競技者の様子を素早く観察し、戦術を瞬時に決めます。ライバルが同じような高度でもがいている場合、上昇風を見つければ相手をやっつけることができます。対して、相手が既にずっと高い場合・・・この場合は千分率勝負でなるべく低い点数を取らないように飛び方を変更するべきでしょう。走り回る飛び方から、1秒でも長く滞空する飛び方に変更します。キャンバーを下ろし、更に注意深く速度制御を行い20キロメートル毎時を少し割るくらいの速度で「上昇風を探す悪あがきをしながら粘り強く滞空」するのが良いでしょうか。
 上昇風のみが味方になるわけではありません。降下を続けてしまっていても、それが0.3m毎秒より少ない地帯・・・弱いリフト帯でもリフトはリフト・・・を探し、なるべくそこにとどまります。すぐ隣で競争相手が魅力的に見える上昇風でくるりと回っても、経験上そこに飛び込んでいくのは自ら負けに行くようなものですので避けた方が無難です。考えてもみてください、あなたはライバルの「下」にしか飛び込めないのです。下の方によりよい上昇風がある確率は、ほぼゼロですが、ライバルが急に下降風に捕まってしまう確率は、かなり大きいことでしょう。

 最後の1/3時間は・・・チャンスはたったの10%ですが・・・ウエーブや地面効果を利用できますので、運動エネルギーを消費する操舵を控え、ひたすら粘りましょう。大事なのはやはり、速度を落としすぎない事です。時速17キロを割ると、あなたの機体の性能は急激に悪化することをいつも忘れないようにしてください。